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「もし国債が国内資金で賄えなくなったなら」

25日に国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高が2010年度末で、973兆1625億円に上る見通しとなったことが明らかになった。日銀の資金循環統計(2009年7~9月期速報値)によると、家計の金融資産から負債を除いた純資産は1065兆4628億円となっている。

国の政府債務残高が家計の純資産に接近し、そして対GDP比の200%超えというのは、いよいよ注意信号が点るゾーンである。もちろんこれですぐに国債が国内資金で消化できなくなると言うわけではないが、国債を買い入れる国内の資金が次第に枯渇してくることだけは予想できる。

もしもの話だが、仮に国内資金で国債が賄えなくなるとなれば、国債は需給悪化により価格は急落し、その結果、長期金利は1999年以降の上限となっていた2%の壁を越えてくる可能性がある。現実には国内が貯蓄余剰となっており経常収支が黒字という状況下で、すぐにこのような事態が起きることは考えづらい。しかし、貯蓄率の低下なども加わり、今後も政府債務が大きく膨らんでいけば長期金利が跳ね上がるという事態が引き起こされる可能性は否定できない。

緩やかな金利上昇ならばこの長期金利上昇によって、海外投資家を呼び込むことができるかもしれない。10年債利回りは米国で3.6%程度、ドイツで3.2%程度あるし、日本の10年債利回りも少なくとも3%台ないと海外投資家の積極的な買いも期待しづらい。もちろん単純に利回りだけの問題ではないにしろ、少なくとも現在の日本の長期金利の水準では海外投資家は食指を動かさないはずである。

しかし、急激な長期金利の上昇となり、それが日本の財政悪化による国債需給への懸念となれば、パニック的な国債売りが引き起こされる可能性がある。その際には国債と同じ信用度の円の急落も招き、日本売りにより東京株式市場も急落しよう。世界経済への影響を考えると日本政府の破綻懸念はリーマン・ショックの比ではないことも確かである。

この国債の急落に対しての最後の手段は財政法で禁じられている日銀による国債の直接引き受けか。これはまさに安易な対策ながら、一時的に皆万々歳となる。国債需給悪化の呪縛から逃れるとともに、景気にも好影響を与え、徐々に物価も上昇してくる。

しかし、戦前の高橋是清蔵相の時の日銀による国債引受と同様、人間いったん楽をしてしまうともう戻れなくなり、そのままハイパーインフレへの突入は歴史が示している。それでなくとも政府も国民も犠牲を払うことを避けての日銀引受となれば、ブレーキなどかけられるわけはない。安易な日銀による国債引受論があるが、そもそも財政法で何故禁じられているのか、その歴史の経緯を再確認すべきである。

国民も漠然とした不安感を持っている。その不安を煽り立てるつもりはないが、国債価格の急落はその国債を間接的に保有している国民資産に大きな打撃を与えることも覚悟しておく必要がある。このリスクから逃れるには資産を完全に日本から分離させるための海外移住しか手段はなかろう。

こういった最悪の結果を招く前に政府は手を打つべきである。今年の参院選では政府による財政再建への本気度が問われたとしてもおかしくはない。
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by nihonkokusai | 2010-01-26 13:53 | 国債 | Comments(3)
Commented by STC at 2010-01-26 16:53 x
定期的に拝見させていただいております。
ひさびさに筋の通った正論をみてスッキリしました。

右よりの人気ネット経済学者たちによると、
「世の経済学はそもそも間違っている。日銀は役立たず。政府の政策も間違い。
政府紙幣を発行すれば日銀の直接引き受けの禁じ手を回避できる。
しかも利払い負担もない。長期金利の変動で価値も影響を受けない。
日本は慢性デフレだからインフレの心配もない。
ウマー!」
と・・・こんな展開でしょうか。
情けなくなります。
こういう意見がもてはやされているようだからこそ、国外移住を視野に入れざるを得ないのかと・・・
Commented by ななし at 2010-01-26 20:30 x
高橋の時代は景気はよくなったんですが、加熱気味の景気を抑制するために軍事コストを削減しようとして、軍部に殺害されたときいてます
安易かどうかともかく、そこまでおいこまれるまでなぜ国債を安易に増やし続けたか、まあ過去のことをいってもしょうがないんですが・・・・
Commented by nihonkokusai at 2010-01-27 08:50
STCさん、ななしさん、コメントありがとうございます。

政府紙幣の議論も、中央銀行というものが何故、
歴史上作られたのかを理解していれば、本来出てくるはずのないものですよね。

そして、安易に発行し続けた国債に関しても同意見です。
なんでもありの小渕政権あたりからそれがさらに加速してきたようにも思います。

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