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「国債関係の問答集」

 最近、ある方と国債や債券先物に関してのやり取りをしていました。せっかくなのでその際の内容をご紹介します(時間的な観点やその内容は順不同となっております。また、答えの内容に疑問点等ありましたら、ご指摘いただけるとうれしいです)。

(問い)JGB先物が現物の動きと乖離したまま推移するなどしたことで、裁定が働きにくくなるケースとは

(答え)裁定取引を行うのは主にヘッジファンドなど海外投資家です。ところがこの海外投資家がリーマン・ショックにより大きな損失を蒙り、裁定取引どころではなくなってしまいとにかく先物主体のポジションを解消に動いたことで現物債と先物の動きが乖離するといったことがありました。先物は常に現物のチーペストと完全連動しているわけでなくそのときの先物と現物それぞれの需給関係で、連動性が薄れることもままあります。

(問い)現在の景気低迷とデフレでどうして金融機関の資金は国債に向かいやすいのか。

(答え)インフレに対して、日銀は金融引き締めで対処するのに対しその反対のデフレには金融緩和策で対応します。つまり政策金利である短期金利を引き下げたり、資金を大量に供給することで、銀行はその資金で、安全資産であり多少なり短期よりも金利の高い国債で運用しているのです。それよりも、デフレとは物よりもお金の価値が上がることでありお金と同様の信用力を持っている国債が買われるのは必然です。(国債需給の問題はここでは置いといて)。

(問い)メガバンクがJGB先物でどのようなヘッジをしているのか。

(答え)債券市場では先物含めて手口情報が一切開示されておらず、具体的にメガバンクがどのような動きをしているのかは推測するだけとなります。このため、プロの市場参加者も具体的な動きは掴みづらいのが実情で、個人がこういった情報を掴むのはかなり困難かと思われます。ただし、前月の投資家動向は証券業協会の投資家別売買状況で確認できます。また、ある程度、動きを見てその時点での推測も可能ではあります。中期ゾーンの現物債に大きな動きがあれば、まずメガバンクの動きかと推測されています。過去の例からは、決算に向けて利益確定売りを出したり、また反対にポジションを積み上げたりと2月から3月に向けて動きがあることも多いのですが、売る際には先物も売っていることが多いはずです。また、金融政策の変更にも敏感に反応します。12月1日の臨時の決定会合での新型オペ導入でメガバンクは積極的に買っていました。反対に、金融引き締めの際には先物のヘッジ売りなどを入れてきています。ただし、目先の相場で銀行のALMなどでヘッジをすることはなかなか難しい面があります。図体が大きすぎて、自分で相場を作ってしまいかねないため、何かしらの材料、もしくは行内事情での入れ替え等がある際に先物でのヘッジなどを入れていると思われます。

(問い)なぜ先物市場があるのに債券を空売りするレポ市場があるのでしょうか?

(答え)債券先物は現状実質7年債と連動しています。このため10年国債の新発債などをヘッジするには期間のミスマッチが生じます。レポならば10年新発そのものを借りてカラ売りできるためこのようなミスマッチは生じません。

(問い)「円高だから日本の長期金利は低下し、円安だから長期金利は上昇する」という説をご解説いただけますでしょうか?

(答え)円高になると日本経済を支える輸出企業の業績が悪化するため、日本経済の悪化を招いて、それにより金利は低下傾向となります。円安となると原油価格など輸入物価が上昇し、物価上昇は長期金利の上昇要因となります。また、為替は基本的には金利差で動くので、日本の長期金利が上昇すれば理屈上は円高要因となります。ただし、為替市場、債券市場それぞれが今、何に一番影響を受けやすいのかによって反応の度合いが変ってきます。

(問い)投資家はなぜ投資の平均回収期間としてのデュレーションに注目するのでしょうか。

(答え)年金などは主にインデックス運用をしているためインデックスのデュレーションに合わせる必要があります。生保や銀行などは反対側にある保険金、預金の残存平均年数につまりデュレーションをマッチさせるように運用しています。生保は超長期、銀行は中期債主体に運用しています。JGB先物トレーダーにとって年金や生保、銀行が保有債券のデュレーションを長期化するのか短期化するのかも見ています。インデックス運用はさておき、そのほかの運用では運用次第で良し悪しが出てしまうため、金利が上がると思えばデュレーションを短目に金利が下がると思えばデュレーションを長めにします。さらに国もなるべく長期的に見て利払い費用を抑えるため平均残存期間であるデュレーションを意識してなるべく残存期間を長めにしようとしています。

(問い)プラザ合意を受けて日銀は短期金利を高めに誘導し、JGB先物に大量の売りが出たのはなぜでしょうか?具体的には何円から89円82銭まで下落したのでしょうか?

(答え)この際には、日銀は短期金利を高めることによって、ドルを売って円を買う動きを誘ったのですが、短い金利を無理やり上昇させれば当然ながら長い金利にも影響を与えます。長期金利も上昇圧力が加わりつまり債券は売られるわけです。それでなくても債券先物はスタートしたばかりで、ご祝儀で大量の買いポジションを持った証券会社も多くその売りが売りを呼ぶ展開となってしまったのです。債券先物は急落し、大量の売り注文により2日間値はつきませんでした。1985年10月24日の債券先物の引けは101円63銭で25日、26日は値がつかずストップ安のままとなり28日に96円63銭で寄り付いています。その後も下げて、11月14日に当時の安値89円82銭をつけています。そして、このプラザ合意による日銀の短期金利高め誘導にはさらに裏があります。内容はこちら、http://bullbear.exblog.jp/807929/

(問い)当初、シ団が引き受けた国債の市場消化が自粛されていたとのことですがどうしてしょうか。

(答え)国債発行が大蔵省の統制下にあったということかと思います。国債の利率も官製金利というか、低く抑えられていた上に銀行が自由に売却するのも制限されていました。

(問い)それでは、シ団が引き受けた国債を市場に売却する必要が出てきたのはなぜでしょうか?

(答え)国債の発行量が多くなって、持ちきれなくなったためです。実際には銀行保有の国債の多くは、日銀のオペで吸い上げられていたのですが、その日銀オペで吸収される比率の低下と都銀などの預金増加に占める国債の割合が急増したためやむをえず1977年に赤字国債から売却ができるようになりました。それでも引受後1年間は売却が自粛させられました。金融機関の保有する国債を自由に売り買いできるフルディーリングが開始されたのが1985年です。この年の10月に債券先物も開始されています。債券市場は結果としては必要に迫られて整備されたこととなります。

(問い)債券運用の利点の一つとして「安全性」が挙げられますが、社債でも償還日に元本が戻ってくるから同じ企業が発行する株式に比べて安全というロジックは成立しますでしょうか?

(答え)企業の倒産時には、株主よりも優先して社債投資家に資金が返済されるために同じ企業の株よりも社債の方が比較的安全といえます。ただしその弁済率はケースバイケースである点に注意も必要となります。これは倒産手続きの種類(会社更生、和議、破産など)や社債の種類(普通社債、劣後社債)によって異なります。最終的には、社債権者集会などで、利害関係者の話し合いによって決められます。

(問い)なぜ海外の年金は中長期債ではなく主に超長期債に投資をするのでしょうか?

(答え)海外の投資家は年金を含め、金利の低い日本国債への投資はあまり積極的ではありません。インデックス運用をしているところも日本の債券の比率は落としているところが多いと言われています。それでも内規などで日本の債券でも運用せざるを得ないところは資金の借入コストなどを考えるとなるべく利回りの高いもの、つまり超長期債を買わざるを得ないのです。

(問い)ヘッジファンドのアセットスワップが長期金利、JGB先物に与える影響と何か例を示してください。

(答え)アセットスワップを海外ファンドが仕掛けることで、投資家層の薄いとみられる30年国債などが積極的に買われ結果として海外投資家が超長期の国債需給に貢献することになっていました。しかし、リーマンショック後に海外ファンドがこのアセットスワップを含めポジションを縮小させた結果超長期債の保有層が生保や年金主体に限られてしまい、超長期国債が売られた一因になっています。

(問い)国債の入札について、テールが短いほど人気が高いといえるのはなぜでしょうか?

(答え)テールは平均落札価格と最低落札価格の差ですが、人気が高いと業者はなるべく落札したいものの高値掴みは避けたいと最低落札価格とみられる価格に集中して応札します。このためテールは短めになります。しかし、人気がないと安いところにも札が入り、その安いところまで下げないと全体の応札額に満たないとなれば平均落札価格と最低落札価格の差が大きくなります。ただし、テールはあくまで人気を測るバロメーターのひとつであり絶対的なものではありません。

(問い)金利が上昇するとデュレーションの長い債券ほど下落するというのは何故でしょうか。

(答え)債券は残存期間が長く利率が低いほど同じ利回りに対しての価格変動幅が大きくなります。つまり金利が上昇した際には、残存期間が長くもさらに利率が低いもの、これは平均残存年数を示す修正デュレーションがより長いものということになりますがその価格変動幅が大きくなる、つまり価格の下落幅が大きくなるのです。
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by nihonkokusai | 2010-01-20 10:10 | 国債 | Comments(0)
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