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「日銀金融政策決定会合議事要旨(11月19~20日分)より」

24日に日銀は11月19日から20日にかけて開催された日銀金融政策決定会合議事要旨を発表した。

この会合の前の16日に2009年7~9月期実質GDP1次速報値が発表されている。これを受けて菅経済財政担当相は、名目成長が依然としてマイナスになっている点を指摘し、日本経済はデフレ的傾向が強まっている、との認識を示し、20日に正式にデフレ宣言を行なっている。

順序が逆転してしまうが、政策委員の議論を見る前に、内閣府の出席者からの発言を確認してみたい。

「GDP成長率において名実逆転が生じているほか、先行きも物価下落が続く見込みである。こうしたことから、わが国はデフレ的な状況に入りつつあるのではないかと思っている。デフレは、日本経済の安定にとって、重要なリスク要因であると考えられる。」

「日本銀行におかれては、こうしたデフレのリスクにも十分留意しつつ、引き続き、金融政策の面から、景気を下支えされることを期待している。また、物価安定の下での持続的な成長を達成する中長期的な道筋について、国民や市場に丁寧に説明していくことが重要であると考えている。」

このような政府によるデフレに対しての認識の強まりに対して、11月19日から20日にかけて開催された日銀金融政策決定会合では「物価に関する情勢判断の情報発信の仕方を巡っての議論を行っていた。

「ある委員は、展望レポートで2011年度まで物価下落が続くという見通しを示したあと、予想されたとおり、「デフレ」に関する議論が高まってきたと述べた。」

デフレに対する議論については、個人的には唐突とのイメージもあった。ある意味、何を今更のデフレ宣言なのかとの意識もあったのだが、この委員の予想した議論の高まりは政府を念頭に置いたものというのは見込み違いであろうか。

「多くの委員は、これまで日本銀行が説明してきたとおり、「デフレ」という言葉が使われる場合には、財・サービス価格の持続的な下落、厳しい景気の状況、資産価格の下落など、様々な定義で用いられており、論者によって異なるため、日本銀行が「デフレ」という言葉を使用する時は、細心の注意を払う必要があるとの見方を示した。」

同意である。

「もっとも、何人かの委員は、こうした説明は正しいものの、このような言い方をすることによって、日本銀行は「デフレ」という言葉をあえて避けているとの印象を与えている可能性があると述べた。」

つまり政府がデフレを宣言したにも関わらず、物価の番人である日銀がデフレへの対応に消極的との姿勢と捉えられるリスクを意識した発言となっている。

「その上で、ある委員は、「持続的な物価下落」を「デフレ」と定義するのであれば、そうした物価動向の評価は、日本銀行が展望レポートで示した見方と異なっていないという点を対外的にも説明していく必要があると述べた。」

つまり日銀も政府と歩調を合わせて、デフレという認識を示すべきとの発言か。

「また、別の委員は、「デフレ」について情報発信する際には、それ自体がマインドに悪影響を与えることのないよう留意する必要があると付け加えた。」

これは日銀がデフレ認識を示すことで、市場に過度な緩和期待などを抱かせることに対しての危惧を示したものか。

「複数の委員は、持続的な物価下落の根本的な原因は、マクロ的な需給バランスが緩和していること、言い換えれば需要の弱さであることを対外的に丁寧に説明していく必要があると述べた。」

デフレへの対応は、いくら物価の問題とは言えその根本には需要の弱さであるため、それを金融政策で対応するには自ずと限界があるはず。

「これらの委員は、そうした状況を改善するためには、設備投資や個人消費といった最終需要が自律的に拡大する環境を整えることが不可欠であり、家計の将来の安心感や企業の成長期待を確保することがもっとも大事な課題であると付け加えた。」

まったくもってその通りであると思うが、日銀のその後の対応を確認してみたい。

11月30日に白川総裁は名古屋での講演で、金融緩和と金融市場の安定確保の両面で、デフレ克服のために最大の努力を行なっていくと述べ、初めて、デフレという言葉を使い、政府のデフレ宣言と歩調を合わせた格好となった。

さらに政府との間で意思疎通図るのは大事なこととも白川総裁は発言した。昨日の白川総裁の発言にも景気の二番底を意識したものもあり、日銀も何かしらの対応策を講じる可能性が強まった。

その結果が臨時の金融政策決定会合となり、新型オペが導入されたのである。

さらに12月17日から18日にかけて開催された決定会合では、金融政策運営に当たり、各政策委員が、中長期的にみて物価が安定していると理解する物価上昇率」を明確化した。これまでは、「0~2%程度の範囲内にあり、委員毎の中心値は大勢として1%程度」としていたが、「日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題」を基本認識として、「消費者物価指数の前年比で2%以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は1%程度を中心と考えている」とした。このポイントとして「ゼロ%以下のマイナスの値は許容していない」、「中心は1%程度」であることを示したのである。

これが結局は日銀による物価に関する情勢判断の情報発信ということになったものと思われる。その結果、短期金利は低下圧力を強めるなど、それなりのアナウンスメント効果があったことは確かである。しかし、市場では次の一手を期待するなどしており、今後も日銀の「デフレ」への対応が注目される結果ともなった。
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by nihonkokusai | 2009-12-24 09:56 | 日銀 | Comments(0)
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