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「大阪経済4団体共催懇談会における総裁挨拶要旨より」

 当面の金融政策運営については、消費者物価指数の前年比がなおマイナスで推移しているもとで、先ほど述べた「約束」に沿って量的緩和政策を堅持していく方針です。

 この「約束」は、2001年3月に量的緩和政策を採用した際に行ったものです。当時は、世界的なITバブルが崩壊し、総需要が落ち込んだ結果、景気は後退し、物価が下落していました。こうした中で、日本銀行は、ゼロ金利のもとでも何とか金融緩和効果を生み出すため、量的緩和政策の実施期間を現実の消費者物価指数と結び付けて判断するという異例の措置に踏み切りました。

 その後、2003年10月には、この「約束」の内容を明確化し、(1)消費者物価指数の前年比が「数ヵ月均してみてゼロ%以上で推移すること」、(2)「先行き再びマイナスに戻らないと見込まれること」を条件としました。この2つは解除の必要条件、すなわち、「これが満たされるまで続ける」という意味で堅固な「約束」です。同時に、この2つの条件は必要条件であるが十分条件ではなく、「満たされたら機械的に解除する」ものではない点も、当然のことですが明示しました。量的緩和政策の解除に当っては、これらの考え方に沿って経済・物価情勢を点検し、「消費者物価指数の前年比が安定的にゼロ%以上」になったといえるかどうか、言い換えれば、「約束」で示した条件が全体として満足されたかどうかを確認していくことになります。

 いつ量的緩和政策解除の判断ができるかは、もとより今後の経済・物価情勢次第ですが、先ほど述べたような見通しを前提にすると、2006年度にかけて、その可能性が次第に高まっていくと考えています。

 その際には、日々の金融調節における操作目標を日銀当座預金残高から短期の市場金利に戻すことになります。先ほども述べたように量的緩和政策が実態としてゼロ金利に近付いていることを考えると、政策枠組みの変更はそれ自体で、金融政策が不連続に変化することを意味するものではありません。金融政策の姿は、先行きの経済・物価情勢により左右されますが、4月の展望レポートで述べたように、経済がバランスのとれた持続的な成長過程を辿る中にあって、物価が反応しにくい状況が続いていくのであれば、引き続き緩和的な金融環境が維持されていくことになると考えています。


以下、日銀福井総裁発言についての感想

 上記が今回の総裁コメントの最後の部分である。このところ副総裁や審議委員から量的緩和解除について前向きなコメントが出ていただけに、今回もややブレーキ役となるのではと勝手に想像していたが、むしろ副総裁や各審議委員のコメントと同じ方向性での発言内容になった。

 日銀は慎重な姿勢を示しているものの、来年度にかけて量的緩和解除を視野に入れていることがこれではっきりしたものと思われる。そして、解除後についても言及している点にも注意したい。政策枠組みの変更はそれ自体で、金融政策が不連続に変化することを意味するものではないと強調しているように、量的緩和を解除したとしても直ちに大幅な利上げとかは想定してはおらず、ここには一時的なゼロ金利という期間を置いたのち、経済環境を見越した上で、小幅な利上げをタイミングを見て実施するのではないかとも思われる。

 解除条件について、あえて「金融政策の透明性の強化について」で触れていた「展望リポート」については今回もコメントせず、「(1)消費者物価指数の前年比が「数ヵ月均してみてゼロ%以上で推移すること」、(2)「先行き再びマイナスに戻らないと見込まれること」を条件としました」としている。これは展望リポートの発表のタイミングに限らず解除を行う可能性も考慮しているのかとも読めなくもないが、やはり展望リポートで今後の物価や景気動向の予測を示して、これをもって解除の条件を満たしたとする方が示しやすいものとも思われる。その意味では、やはり2006年4月末の会合における量的緩和解除の可能性が強いものと思う。
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by nihonkokusai | 2005-09-29 16:46 | 日銀 | Comments(0)
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