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「資金循環統計から見た国内資金の国債への買い余力」

 日銀のホームページにアップされている資金循環統計の時系列データ(http://www.stat-search.boj.or.jp/info/dload.html)を基に、国債の買い余力について探ってみたい。

 2009年6月末時点での資金循環勘定速報を見ると海外投資家が国債残高に占める比率は6.1%しかないことで、国債の約94%が国内資金で賄われている。この国内資金のうち民間預金取扱機関が36.2%、民間保険年金が24.2%、公的年金が11.8%、日本銀行が7.8%、家計が5.3%、投信など金融仲介機関が5.1%、財政融資資金が0.2%、その他が3.3%となっている。

 1979年以降の資金循環統計の時系列データから、家計の資産残高の推移をみてみると、現預金が突出して右肩上がりに増加傾向を示していることがわかる。1979年の家計に占める現預金は194兆8234億円であったのが、2008年には786兆4214億円に増加している。保険準備金は34兆4551億円から220兆2107億円、年金準備金は8兆7573億円から173兆1386億円とそれぞれ大きく増加しているものの、絶対額では預貯金の大きさが目立っている。さらに保険準備金は2000年の239兆8942億円をピークに頭打ちになっている。年金準備金についても金額ベースでみれば緩やかな上昇となっており、この動きからは今後、保険・年金が国債投資を大きく増加させることは考えづらい。

 このため、今後の国債への買い余力を見る上では現預金の推移が大きく影響してくる可能性がある。ちなみに現金は国債投資に直接結びつかないものの、日銀は日銀券発行残高を限度に国債買入を行なっているため、現金部分はある程度日銀がカバーしていると考えられる。

 現預金での国債買入余力を見るために、資金循環表の政府の負債から国債(財投債含む)の部分を抽出し比較してみた。短期国債についてはその反対側にドル資産などがあることで、ここでは対象から外している。

 1979年度から2008年度までの現預金から国債を除いた数値を比較してみると面白いことがわかる。1979年度以降、現預金から国債を除いた金額は増加傾向にあったが、それは1997年度の394兆4710億円をピークに減少しているのである。ただし、1999年度あたりまでは高水準を維持していたことから、国債需給への悪化が懸念され日本国債への格付会社による格下げなどが行なわれていた頃に最も買い余力があったことになる。

 ところが2000年度以降は、現貯金の増加が緩やかなペースになったことに対して、政府債務の国債は増加したことで、2007年度には227兆3141億円にまで減少している。ピークの1997年度から比較して2007年度は167兆1569億円の減少となっている。2008年度は現預金の増加と国債残高の減少でやや持ち直しているが、2009年度はさらに現預金から国債を除いた金額は減少していることが考えられる。ちなみに2008年度の数値は240兆1722億円となり、2009年度はさらに新規国債が50兆円近く発行されることで、その分減少する可能性がある。

 これを見る限り、国債を国内資金で賄うための余力は数年後にかなり厳しい状況に陥る可能性がある。もちろん現預金と国債残高だけでそれを決め付けるのも無理があるかもしれない。しかし、危機が決して遠くにあるわけではないことはこれからも確かなのではなかろうか。
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by nihonkokusai | 2009-11-24 10:35 | 国債 | Comments(1)
Commented by Τ at 2009-12-23 12:49 x
現預金‐国債が10年くらい前から下がってるのは、貸出の低下と、年金準備金の増加でほとんど説明できますよ。
政府が国債で調達したお金をため込まない限り、国内資金で賄えなくなる状況が来るというのは、ありえないと思うのですが。。。
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