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「国債暴落のリスク」

 日本国債の保有者を見ると、海外投資家のシェアはわずかに6.1%しかない(2009年6月末現在)。つまり日本国債は国内に滞留している資金によりそのほとんどが購入されていることになる。国債は国民の借金であるが、それを買い支えているのも預貯金や生命保険、年金などを経由した国民の資金であると言える。

 国内資金で賄えてしまうことにより、日本国債が格下げされても、国債価格が維持されていたわけであるが、その半面、大きな問題点も浮かび上がる。海外投資家は財務省のIR活動などにも関わらず、そのシェアはあまり高まっていないことである。

 現状は日本国債が国内の資金で賄えられているとは言え、今後の国債発行分も十分に賄えるという保証があるわけではない。いずれは日本国債も海外投資家の購入に頼る可能性も十分にありうる。少子高齢化などによる低成長の継続に加え、ここにきて日本の貯蓄率が低下しているなど、今後は国債購入を賄える国内資金が減少してくることが想定されるためである。

 現在は、日銀の超低金利政策やデフレ圧力の強まり、景気悪化による設備投資の減少などによる貸し出しなどの伸び悩みなどから、国債へと資金は向かいやすくなっている。しかし、国債にとっての好環境がこのまま半永久的に維持されることはありえない。

 また財務省による国債管理政策の進展も国債市場を安定化させた大きな要因となっている。国債引受シンジケート団が2006年3月に廃止されたが、それに変って国債市場特別参加者制度が機能している。しかし、国債の買い手の資金が尽きるようなことになれば、国債管理政策だけでは国債暴落を防ぐことはできなくなる。

 このため、新政権は国債への信認を維持するために、国債増発については極力避けるようにし、財政規律を守る姿勢を示すことが重要な課題となる。マニフェストに固執し経済再生という名目で財政再建を棚上げし、結果として国債発行が増え続け、国債への信認が低下すれば、国債が暴落する可能性は否定できなくなる。

 すでに860兆円にも及ぶ借金(国債及び借入金合計、2009年6月末現在)を抱えた状況で、今後もさらなる借金の増加にどれだけ市場が耐えうるかといった「チキンレース」のようなことをやることは非常に危険である。

 財務省が9月にインターネットを使ったアンケートによると、日本の財政について「とても不安・不満」と感じている割合が68%に上ったことが分かった。財政再建は痛みを伴う政策でもあるが、国民の多くが不安を感じている以上、新政権はその不安解消にも努力することが必要である。

 仮に日本国債の暴落が現実化した際には、世界第二位のGDPを誇る国(2009年現在)の金融システムが崩壊することになる。それはリーマン・ショック以上の世界的な金融・経済危機を招く可能性がある。

 国債増発を抑えるために、無利子国債や政府紙幣の発行などを主張する向きもいるが、これらは一時的な対応策にしかなりえず、むしろ既存国債の信認を失墜させてしまう可能性がある。

 また極端なインフレを起こすことで実質的な国債価値を減少させ、国の財政負担を軽減すれば良いという意見もある。それは結果として国民資産を大きく痛めることになり、国民が犠牲になることを考えればその施策も愚策と言えよう。

 財政再建は可能なのかと問う以前に、財政再建を行なわなければ、いずれ悲劇を招く。政府は財政規律検討会を設置すると伝えられているが、形式的な財政規律重視ではなく、財政再建を行なうことをしっかりと行動で示していかなければいけない。
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by nihonkokusai | 2009-11-04 13:24 | 国債 | Comments(0)
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