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「白川日銀総裁記者会見より」

 10月30日の日銀金融政策決定会合後に行なわれた白川日銀総裁の記者会見の内容が日銀のホームページにアップされた。その中から個人的に興味が引かれた部分をピックアップしてみたい。

 「金融政策については、先程粘り強く続けると申し上げました。例えば、昨年の秋、今年の春、それから今回という3つの時点を比較してみると、同じ金利水準であっても、この間に成長率は少しずつ上がってきています。つまり同じ金利であっても、それが持つ刺激効果が少しずつ高まっていますし、社債・CP等の信用スプレッドをみても、確実に小さくなってきています。それから、いわゆる資金のアベイラビリティ(調達可能性)も格段に高まっているので、同じ金利水準のもとでも実は金融緩和の力が強まっているわけです。」

 昨年9月のリーマン・ショックの金融経済ショックからは、経済の絶対水準はまだまだ低いものの、政府による経済対策や日銀の金融政策なども功を奏し、思いのほか早く景気が回復基調となってきていることは確かである。今回の回復でどれだけ金融緩和圧力が強まったのかは判断はしにくいものの、方向性としては何もしなくても緩和圧力が強まっていく可能性はある。

 社債・CP等の信用スプレッドについては今回日銀が購入対象としていたような高格付けのものについては発行環境が改善したことは確かである。しかし、それが低格付けまでは波及してきていないことに問題もありそうである。

 「来年4月以降は特別オペを完了し、共通担保資金供給オペ等、従来からあるオペで資金を潤沢に供給する態勢に移行することを今の時点で明らかにしておくことによって、市場での様々な不確実性が生まれることを防げると思います。」

 特別支援オペについては、市場でも予想されていたように3月末まで延長することを決定した上で、3月末で終了しその後は、共通担保資金供給オペ等を使って潤沢な資金供給を行なうことを明らかにしている。

 そして、何故半年先のことを今、決める必要があるのかとの質問については、ある程度の期間をおいて移行した方が、市場が混乱しないと総裁は指摘した上で、海外の中銀と同じような動きをしていることを示した。

 「実は、海外の中央銀行は、昨年秋以降導入した様々な異例の措置を少しずつ元に戻しているわけですが、私どももそれと同じように行っています。例えば、FRBは長期国債の買入れを3月に発表し、この施策を10 月末に終了するということを数か月前に発表しました。それから来年の3月にMBSなどの買入れについて終了するということを先月発表しました。いずれもある程度の助走期間をおいた方が円滑に移行するという判断であり、どの中央銀行も同じように判断し行動しているということです。」

 これは最近になって始まったことではなく、何かしらの政策変更については金融政策そのものはさておき、そのほかのものについては市場に混乱を与えず、また市場への準備期間を与える意味でも期間を置くことの方が普通である。これは質問者側に時期尚早ではなかったのかとの意識も働いていたものと思われる。そのあとにも「来年1月または2月辺りまで結論を待つことをお考えになったのでしょうか。」との質問もあった。総裁は今回の発表について、出口を意識したものではないと強調していたが、それをマスコミも額面通りには受け取ってはいないようである。

 水野審議委員も、30日の決定会合で企業金融支援特別オペについて来年3月末で完了すること、および社債買入れについて本年12月末で完了することに反対していた。経済金融危機はまだ収まっておらず、今後も景気の二番底といったリスクも大きいとの認識ではなかったかと思われ、「出口政策」とも見える今回の発表に反対したのではなかろうか。

 マスコミだけでなく市場関係者の中にも、同様のリスクを意識した声はかなりある。私自身は景気の先行きについては比較的楽観視している方ではあるが、今後の下振れリスクについてはかなり注意深く見ておく必要もある。
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by nihonkokusai | 2009-11-04 10:10 | 日銀 | Comments(0)
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