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「10月の長期金利の上昇要因」

 10月の10年債利回りの動きを見ると10月6日につけた1.240%が直近の最低利回りとなり、その後はほぼ一本調子での金利上昇局面となった。10月27日には8月13日以来の1.4%台に乗せ月末30日には一時1.425%まで上昇した。

 この日本の長期金利上昇の要因のひとつは、米国の7~9月期の企業決算が予想を上回るなど景気回復期待の強まりによる米長期金利の上昇がある。また日本でも、日銀が景気に対する基調判断を「持ち直しつつある」と2か月連続で上方修正するなど景気回復への期待の強まりもあった。

 足元のファンダメンタルズを見てみると、29日に発表された9月の鉱工業生産指数速報値は前月比1.4%上昇し、7か月連続のプラスとなるなどしっかり。先行きの生産についても10月が前月比3.1%上昇、11月も1.9%上昇を見込むなど、当面生産は好調さを持続するとみられる。

 また雇用についても、30日に発表された9月の完全失業率は5.3%と前月に比べ0.2ポイント低下し、これは昨年10月以来の2か月連続の改善となった。また、9月の有効求人倍率は、過去最低だった前月より0.01ポイント改善し0.43倍となったが、こちらの改善は2年4カ月ぶりとなった。

 そして物価を見ると、30日に発表された9月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比2.3%下落となった。マイナスは7か月連続となったが、8月のマイナス2.4%からは0.1ポイントの改善となった。

 ただし、やはり30日に発表された日銀の「展望レポート」では、消費者物価指数(生鮮食品を除く)の見通しを2009年度がマイナス1.5%、2010年度がマイナス0.8%、2011年度がマイナス0.8%と3年連続でマイナスとなる見通しも発表された。

 景気については足元は回復基調となっているが、デフレ傾向は継続すると予想されるなど本格的な景気回復までにはかなりの時間を要しそうなことも確かである。

 しかし、10月の長期金利の上昇はこの景気回復期待などによるもの以上に、国債に対しての需給悪化懸念が背景にあったものと思われる。

 10月23日に開催された国債市場特別参加者会合では国債の個人向け販売分の下振れ分の2兆円程度と、物価連動債(3000億円)と15年変動債(3000億円)の今年度発行が中止される分も含めて、総額で2.7兆円程度の振り替えが議論された。

 これだけでなく、すでに2009年度における6兆円超の税収の落ち込みを国債の追加発行で補うことが報じられており、第二次補正予算編成に絡んだ国債増発の行方も国債需給の懸念材料となっている。

 これらを材料に10月に入ったあたりから、超長期ゾーンのスワップなどでかなり仕掛け的な動きが入ってきているとの観測があった。これは国債需給の悪化を意識して海外投資家がスワップやスワプションを使った円金利のスティーニング・ポジションを作っているのではないかとの見方もでていた。

 このようにヘッジファンドなど海外投資家によるスワップや先物、オプションなどを通じた売り仕掛けと共に、国内投資家も来年度予算も含めての国債需給動向を確認するまでは動きづらいと買いを引いていたことが、10月の長期金利上昇の背景にあったものと思われる。
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by nihonkokusai | 2009-11-02 14:07 | 債券市場 | Comments(0)
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