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「バーナンキ議長の出口論」

 25日に夏休み中のオバマ大統領は、バーナンキ連邦準備制度理事会議長を再指名した。米景気も底打ちし回復基調となっているが、経済そのものはまだまだ脆弱であり、金融政策の舵取りは今後、ますます難しくなる。

 100年に一度とも言われる金融危機に対し、FRBは緊急資金供給措置など異例とも言える非伝統的な金融手段を講じてきた。金融市場も一時の危機的なパニック状態からは脱しつつあり落ち着きを取り戻してきている。

 地銀などの破綻が続くなど淘汰も進んでいるが、これはむしろ過剰ともいえた金融機関の整理統合が進んでいるとの見方もできるのではなかろうか。米大手金融機関も商業用不動産などによる懸念も抱えながらも、徐々に体力の回復を図ってきている。

 景気の二番底を気にする声も強いが、今後数年内にリーマンショックほどインパクトの大きなクラッシュが起きる可能性はむしろかなり低い。大恐慌時の株価の動きと重ねて、株価の戻りも一時的に過ぎないとの見方もあるが、多少の上げ下げはあっても今後は戻り基調となる可能性を意識していたほうが良さそうである。

 こういった状況下、今後、バーナンキ議長は現在の景気回復基調を阻害することなく、非伝統的手段である緊急資金供給措置などを終了させ、金利を正常化するための舵取りをしなければならない。金融緩和に関しては政府も議会も歓迎しようが、その舵を反対に取ろうとすれば、今度は政府や議会が時期尚早とプレッシャーをかけてくるであろうことも想定される。

 20日の水野日銀審議委員の講演の中で、FRBのバーナンキ議長が、7月21日にウォールストリートジャーナル紙に「Fedの出口戦略」というタイトルで寄稿したものを紹介している。以下、水野審議委員の講演の一部を抜粋した。

 「FRBのバランスシートが大きく膨らんでいても、準備預金への付利と、準備預金額を減らすための様々な政策手段という金融引き締めを行うための手段が2つある、さらに、準備預金を減らし、超過準備を吸収する策には4つの選択肢があり、それは、金融市場参加者との大規模なリバース・レポ取引、財務省が債券を売却しその代金をFedに預金すること、銀行に対するターム物預金の提供、保有長期債の市場売却である。」

 これに対して水野委員は、「バーナンキ議長が指摘した4つの選択肢が、非伝統的な金融政策からのスムーズな「出口戦略」を保証するものかどうかは未知数であり、財政政策とのバランスという観点から非伝統的な金融政策の出口戦略に影響が出てくる可能性があるとの見方もあります。」とコメントしている。

 現実問題として、FRBによる米国債の買い入れを停止する分には、よほど国債需給が緩んでいるような状況にない限りは市場への影響は限定的であり、長期金利に影響がでなければ政府や議会も容認しよう。

 しかし、バーナンキ議長が言うところの「保有長期債の市場売却」は実現可能であろうか。特にFRBによる米国債の売却は市場に大きなインパクトを与える可能性がある。特に財政が悪化傾向にあり、米国債の発行額も増加を続けている中では、米国債の売却は困難と言わざるを得ないのではなかろうか。

 水野委員は「出口戦略」について丁寧に情報発信することが極めて重要であることを指摘している。仮にバーナンキ議長がFRBが保有する米国債を売却を行なうのならば、市場に影響を与えないための対応をうまく行なっていく必要がある。いずれにせよ出口に関してはかんり神経を研ぎ澄ませて行なわなければならないことは確かであろう。
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by nihonkokusai | 2009-08-27 10:02 | 日銀 | Comments(0)
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