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「著名エコノミストからの提言」

 8月8日に上海で日銀の白川総裁は「非伝統的な金融政策─中央銀行の挑戦と学習─」という講演を行なった。その邦訳が日銀のサイトにアップされている。

 この講演では過去に日銀が行なった政策に対しての経済学者などからの批判に対しての検証も行なっている。日銀が行なった量的緩和政策について、エコノミストの一部は「マネタリスト的なチャネルを通じた経済活動の刺激効果は自明なもの」と考え日銀の対応を暗に批判していた、しかし、それを検証した結果、量的緩和政策の実体経済に対する有効性がこれまでのところ確認されていないことを指摘した。

 企業債務などの政策措置に対し、クレジット市場の機能が低下し経済活動が落ち込む危険が高まる局面では正当化されようが、実際の政策対応に当たっては、市場参加者が異例な措置に依存し市場機能が阻害されないよう市場機能の回復と共に、利用のインセンティブを低下させるような適切な出口の仕組みを設けることが大事である点を総裁は指摘している。

 さらに危機時だからといって時間的整合性のとれない政策を採用するとむしろ中央銀行の信認に悪影響を及ぼし、金融政策の有効性を低める結果になりかねない点も指摘している。

 1990年代後半以降、日本の政策当局に対し国内外のエコノミストや国際機関から様々な政策提言がなされていた。その中でも日銀に対し「高めの目標インフレ率を設定し、その目標を達成するため、実物資産を含めてあらゆる資産を購入する」、「財政赤字のマネタイゼーションを行うべし」などの提言があった。前者の提言を行なっていた一人はインフレ・ターゲットを主張していた現在のバーナンキFRB議長であったはずである。

 その提言の中でも最も有名な提言の1つとして「無責任な政策にクレディブルにコミットすべし」というノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン教授の発言も白川総裁は取り上げていた。

 金融政策は金融の現場に直面していなければ適切な判断は下せないということであろう。金融危機に対してバーナンキ議長が行なった政策は持論に基づくものと言われるが、現実としてはケチャップでもなんでも買い込んでヘリコプターからばら撒くような政策はとっていない。

 さらに今回の危機において他のエコノミスト達からも大胆な政策提案は行われていない。そうした議論は、実際に危機への対応という課題に直面して初めて、真に地に足のついたものになると総裁は指摘している。

 著名エコノミストからの中央銀行に対しての提言は結構であるが、実際の危機対応として絶対に正しいものであるとは限らない。これはマスコミや政治家なども十分に留意すべきものであろう。
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by nihonkokusai | 2009-08-18 09:46 | 日銀 | Comments(2)
Commented by なみすと at 2009-08-19 14:42 x
著名エコノミストからの中央銀行に対しての提言ですが、中央銀行の実行可能性を無視したものもあった気が致します。
総裁が彼らに対して悪態をつきたいのであれば、このあたり指摘しても良いんじゃないかと思います、正論ですし。
もっとも私、恥ずかしながら講演内容全て把握しておりませんので、言及しているのかもしれませんが。
Commented by nihonkokusai at 2009-08-20 08:31
なみすと さん、コメントありがとうございます。
白川総裁は遠まわしながらも、指摘していたようです。
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