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「時間軸の設定」

 日銀は「今次金融経済危機における主要中央銀行の政策運営について」というレポートを発表した。これは今回の金融経済危機の中で、世界の主要中央銀行が取り組んできた政策運営について、具体的にどのような政策措置が講じられてきたか、主要中央銀行の政策運営に共通してみられる特徴点は何か、という2つの観点から取りまとめたものである。この中に主要中央銀行による政策措置の中の、政策金利の先行きに関する方針の表明に関して下記のような記述があった。

 「いくつかの中央銀行では、政策金利の引き下げに加え、ターム物金利など長めの金利を低位安定化させる目的で、政策金利の先行きに関する方針を表明することによって、金融緩和効果を補強している。」

 長めの金利を低位安定化させる目的とする政策金利の先行きに関する方針を表明するというのは過去に日銀に事例がある。いわゆる「時間軸効果」を意識して行なわれた施策である。1999年2月に実施されたゼロ金利政策において、その年の4月に「デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまではゼロ金利政策を継続する」とした。

 さらに2001年3月からの量的緩和政策を行なった際にも、「消費者物価指数(全国、除く生鮮)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで、継続する」としたのである。

 しかし、2000年8月のゼロ金利政策の解除の際には政府の反対があり、2006年3月の量的緩和政策の解除の際にも、先行きの消CPIの前年比は先行きプラス基調が定着していくとみて解除したが、実際にその後のCPIを見ても安定的といえるほどプラス基調が定着したわけではなかった。

 このようなコミットメントを行なってしまうと自分で自分を縛りかねない。さらに政府や市場参加者などと日銀の目標達成の認識にギャップが生じる可能性があり、解除に向けて摩擦が生じてしまう懸念もある。これが意識されたのかどうかはわからないが、昨年12月に日銀が実質ゼロ金利政策を行なった際には、政策金利の先行きに関してはこのような具体的な方針は示していない。

 これに対して今回の金融危機を受けての各国の中銀の中には、たとえば2009年4月に政策金利を0.25%に引き下げたカナダ中銀のように、2010年第2四半期末までこの誘導水準を継続する方針であることを示すなど、先行きについて具体的な方針を示したところがあった。また2009年7月に政策金利を0.25%に引き下げたリクスバンクも2010年秋まで継続するとの見通しを示していた。

 このカナダ中銀は目標を立てるのではなく、具体的にいつまで実施すると期間を表明したが、これはこれでリスクがある。可能性は少ないといえども2010年第2四半期末までに景気が底打ちし、インフレ圧力などが強まることもありうる。

 時間軸効果を狙うことも必要かもしれないが、より機動的な金融政策を行なうためには、あまり具体的な目標は設置しないほうが良いのではないかと思うのだが。
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by nihonkokusai | 2009-07-30 13:59 | 日銀 | Comments(0)
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