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「政治の空白期間中の動向予想」

 麻生首相は衆院選を21日にも解散し、衆院選の投開票日を8月30日にする方針を決めた。7月解散は初めてとなり、8月の衆院選は明治期に2度あるだけで戦後は初めてのこととなる。もし21日に解散となれば、解散から投開票日まで40日間と現行の憲法下では最長となる。長期に渡る政治の空白期間の存在中は新たな政策が打ち出せないばかりか、政権そのものが代わる可能性も高い。投開票後も特別国会での首相指名選挙や組閣などの準備期間も必要となり、新政権の本格始動は9月中旬以降になる公算が高い(日経新聞)。約2か月に渡り政治の空白期間が継続されることは、市場にも影響を与えそうである。

 債券市場では国債への需給への懸念が再び強まってくる可能性がある。7月から16.9兆円もの国債増発が開始されたが、事前に警戒感も強まっていたことで、業者も投資家も準備を進めていたとみられ、焦点となった7月2日の10年国債入札を含め、無難な入札となった。

 また、銀行などは日銀の超低金利政策や企業金融支援特別オペなどに加えて、預金の増加なども手伝い余剰資金を抱えていたことで、景気回復期待の後退などをきっかけに、そういった余剰資金による買いが入り込み、2年国債の利回りは2006年1月以来の水準となる0.230%に低下し、5年国債の利回りも0.650%と2005年9月以来の水準に低下した。10年債利回りも一時1.3%を割り込んだ。

 日経平均株価は7月に入り連日の下落となっていたが、この背景には景気の早期回復期待が後退したことが大きな要因となった。1日に発表された日銀短観で大企業製造業DIはマイナス48と予想ほどの改善とならず、やはり景気への先行き不透明感を強めた。さらに2日に発表された6月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数が46万7千人の減少と事前予想を大きく上回る減少となったことで、景気回復期待が後退した。

 また、世界的なリスク資産への投資の巻き返しの動きが出ていた。当局が原油などの投機的取引に対して政府主導で規制を設ける措置を検討していると報じられ、原油先物は6月末の73ドルから7月9日には一時60ドルを割り込み、いずれ50ドルを割り込み可能性も指摘されている。原油先物だけでなく商品先物全般に売り圧力が強まり、また高金利通貨も下落するなど投機筋による投資の巻き戻しの動きの強まりにより、安全資産としての国債に資金が向かった側面もある。

 東証の債券先物の動きや建て玉の動向などを見る限り、海外ファンドなどによる投機的な動きは影を潜めている。現物への投資家による買いや米国債の上昇などを受けて、債券先物も上昇基調となっていたものの力強さはなく、値動きも小幅なものに止まることが多かった。これは2003年6月に10年債利回りが0.430%まで低下していた際の動きに似通っていた。

 政治の空白期間中に関して、債券市場で注意すべきは需給動向になるとみられる。民主党が政権を取ったとしても財政のさらなる悪化は免れないとの見方も強く、今後のさらなる財政悪化はどちらが政権を取ったにせよ免れないものと予想される。

 7月は警戒心も強かっただけに無難なものとなった国債入札だが、8月以降もこのまま順調に消化されるかどうかはわからない。特に8月は政治の空白に加えて夏休みという要因もある。余剰資金を抱える銀行の買いがいつまで継続するのかもわからない。

 2003年6月もやはり余剰資金を抱えた銀行の買いが相場上昇を誘ったが、その後の急落を迎えることともなった。当時とは環境も大きく異なるため同一視はできないものの、こういった急落のリスクが存在することも確かであろう。

 景気の動向については再び悲観的な見方も強まってきているが、中国やインドなど新興国の景気がしっかりしており、日本経済もここからさらに大きく落ち込みことも考えづらい。リーマン・ショックと同様のリスクが発生する可能性は低く、むしろ急激な落ち込みの反動が徐々に現れると見ておいた方が良いと思われる。実際に6月の日銀短観では、大企業製造業DIの3か月後9月の予想値はマイナス30と、さらなる改善見通しとなっていた。ただし、物価に関してはさらに低下してくると予想され、デフレが意識されると債券にとっては下支え要因となる。

 以上のことから、政治の空白期間中の債券市場の動向を予想すると、需給に関しては好環境がある程度持続されるかもしれないが、今後の国債需給への懸念もあるだけに、銀行などによる買い一巡後の動向には注意が必要になる。ファンダメンタルズに対しては楽観視はできないものの、あまり悲観的な見方もリスクがあるとみられる。債券先物の動きがあまりに静か過ぎることも気掛かり材料であり、政治空白期間を材料視して仕掛け的な動き、この場合は売りに大してとなろうが、そういった動きが強まる可能性もある。その際には相場が急反落する可能性もありうるとみている。
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by nihonkokusai | 2009-07-14 10:38 | 債券市場 | Comments(0)
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