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「個人向け国債の取引市場」

 報道によると、大和証券は国内初となる個人向け国債の取引市場を9月に開設する方針を固めたそうである。新市場は、大和が昨年8月に稼働させた私設取引システム(PTS)を活用。取引価格は額面金額と同額とする。大和に取引口座を開設していることが条件となる。個人向け国債は現在は5年固定金利型と10年変動金利型の2種類あり発行残高は合計で27兆円を超えているが、大和証券の新市場ではこのうち変動金利10年債を取り扱う。

 個人向け国債は個人でしか保有されていないため、証券会社が保有することはできない。5年固定には2年間、10年変動には1年間という途中換金できない期間が存在し、これが個人向け国債のひとつのウイークポイントともなっている。ただし、その期間を過ぎれば途中換金する場合は、国が額面金額で買い取る仕組みとなっているが、受け取った利子の一部が差し引かれる。

 個人向け国債は、個人間譲渡について発行日以降、原則としていつでも譲渡することができる。

 また、既に口座を開設している取扱機関で手続きをすれば別の取扱機関の口座へ振替も可能となっている。ただし、振り替える先の取扱機関にあらかじめ口座を開設しておく必要がある。

 つまり、もともと大和證券で個人向け国債10年変動型を購入した個人投資家、もしくは大和證券に新たに口座を開設し他の金融機関で購入した個人向け国債10年変動型を大和證券の口座に振り返れば、大和証券の個人向け国債の取引市場で発行日以降、「1年未満」であっても額面金額で売却が可能となる。さらに受け取った利子の一部が差し引かれることもない(一定の売買手数料は差し引かれると思われるが)。

 また、現在四半期毎の発行となっており、募集期間が定められている個人向け国債は、買いたい時に買えない場合があるが、この市場を通じればいつでも買うことが原則可能となる(売り注文が入っていることが前提だが)。そしてここがもうひとつの大きなポイントとなりそうなのが、すでに発行されたものを売買することで、10年変動利付きながら残存期間はバラエティに富んだものとなる。たとえば2003年3月発行の第1回の変動10年ならば残存4年未満となり、これが売りに出ていれば、利子が10年国債利回りマイナス0.8%という預貯金に比べて高い利回りで購入できることとなる。

 この市場により流動性が高まれば、現在、販売低迷する個人国債の販売回復に向けた打開策になる可能性もありそうである。今回、10年変動型のみが対象となったのは、10年変動は利率が半年毎に見直されるため、何時発行したものでも利率という条件は一定しているため、取引が容易となるためであろう。固定5年では利率が回号ごとに異なるため、利率に応じた価格設定が必要となるなど煩雑となるために避けられたものと考えられる。
by nihonkokusai | 2009-06-30 09:48 | 国債
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