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「中央銀行による国債買入の目的とその効果」

 日銀の水野審議委員は講演「最近の経済情勢と中央銀行の政策対応」の中で、主要中央銀行が行なっている国債買い入れの狙いについて述べている。

 BOEの国債買入の目的は3月5日のMPC声明文によると、中期的なインフレ率目標を達成するためにマネーと信用の供給量の拡大を通じて名目支出を拡大させることとしている。また、FRBについては、国債買入れは信用緩和政策の一環と位置付け、モーゲージ金利の低位安定を期待したエージェンシーMBSの購入等を補完することが目的とみられる。

 ただし、ECBに関してはユーロ圏諸国の国債買入れに慎重である。これはユーロ圏には、財政規律の重要性等が明記された「成長安定協定」が存在し、財政政策との役割分担を明確にしているためと水野委員は指摘している。それとともに、ひとつの国の中銀ではないことで、個別の国債を購入しにくい面もあるとみられる。

 2001年3月~2006年3月まで、国債買入を含めた量的緩和政策を採用した日銀の事例からは、ベースマネーは膨張したもののBOEの目的としたマネーサプライ(マネーストック)の供給量の拡大への影響という面では限定的であった。効果という観点からは、景気刺激効果よりも金融システム対策として機能したという印象が強いと水野委員は指摘している。

 FRBの米国債買入れの目的は「民間クレジット市場の改善を企図」したとしている。確かにFRBによる国債買入のアナウンスにより、クレジット・スプレッドは全体的に縮小した。しかし、その縮小の反動が起きたことでモーゲージ金利が乱高下し、それが米長期金利の上昇を招いた。FRBによる米国債購入は必ずしもモーゲージ金利とともに米長期金利そのものの低位安定にはつながっていない。

 現在のBOEやFRBは日銀に比べ大規模な国債購入を行なっているが、日銀のように限度額に対してルールを設けていない。水野委員は米英が日本に比べてインフレ期待が高いことで、現在低下傾向にあるインフレ率に、将来何らかの影響を与えるリスクにも注目したいとしている。

 また、「中央銀行は財政面からの景気刺激策による長期金利の上昇圧力を意識せざるを得ないだろう」との見方があることを水野委員は指摘している。

 今後の国債増発に絡んでの長期金利上昇懸念から、中央銀行への国債買入れ増額の期待感が強まることが考えられる。しかし、それに関与すればするほど市場が依存するようになり、マーケットの価格形成機能を大きく歪め、長期金利の低下を促すどころか、急上昇を招く要因にもなりかねないことも考慮する必要がありそうである。
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by nihonkokusai | 2009-06-09 13:46 | 日銀 | Comments(0)
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