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「景気回復への期待」

 日銀は5月の金融経済月報で、景気の現状判断を4月までの「大幅に悪化している」から「悪化を続けている」と小幅に上方修正した。日銀が景気判断を上方修正するのは、ゼロ金利を解除した2006年7月以来、2年10か月ぶりとなる。先行きについても、「当面、悪化を続ける可能性が高い」から「悪化のテンポが徐々に和らぎ、次第に下げ止まっていく可能性が高い」に上方修正している。

 ただし、白川日銀総裁は会見で、「景気は私どもの予想通りに展開していますから、これが上方修正という言葉に馴染むのかという気持ちはあります」と発言し、また、不確実性が高く、下振れリスクに注意しながら状況をみていく必要があると考えを示すなど、先行きについてはかなり慎重な見方を示していた。

 また、5月の月例経済報告で、政府も景気の基調判断を3年3か月ぶりに上方修正した。景気の基調判断を、4月までの「大幅に悪化している」から、「景気は厳しい状況にあるものの、悪化のテンポが緩やかになっている」とした。与謝野馨財務・金融・経済財政相は2日の閣議後の記者会見で1~3月期が「底打ちの時期だと思う」との判断を示した。

 しかし、月例経済報告では雇用情勢については急速に悪化しており厳しい状況にある、と下方修正しており、また個人消費についても、ボーナスの減少や新型インフルエンザの影響を注視する必要があるとして、まだ、景気は底を打ったと言える段階ではない、という認識を示した。

 実際の経済指標を見てみると、4月の貿易統計において輸出は対前年同月比39.1%減(3月は同45.6%減)、輸入は対前年同月比35.8%(同36.7%)の減少となりそれぞれ改善傾向を示した。

 また、4月鉱工業生産速報値は、前月比プラス5.2%となり、生産予測調査では5月がプラス8.8%、6月はプラス2.7%を予測するなど生産は予想以上に改善している。

 ただし、雇用は低迷しており、4月の完全失業率は5.0%となり、前月に比べ0.2ポイントの上昇となり、4月の有効求人倍率も0.46倍となり、前月比0.06ポイント低下している。

 物価に関しても4月の全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年同月比マイナス0.1%と、2か月連続でマイナスとなった。

 このように足元は在庫調整などにより、輸出・生産が急回復しており、4~6月期のGDPは前期比プラスになる可能性が高まった。政府の経済対策の効果も手伝って7~9月期あたりまでは回復基調が継続する可能性があるが、雇用環境の改善等がない限り、その後年末に向け回復が持続できるかは、不透明感が強いことも確かである。
by nihonkokusai | 2009-06-02 11:35 | 景気物価動向
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