「米長期金利は3.7%台に上昇」
ところが、この結果を確認して、米債は大きく売られこととなった。結果そのものを嫌気したわけではなく、入札結果を確認するまでいったん売り手控えていたように思われる。ニューヨーク連銀による60億ドルの国債買い入れを実施したが、これもあまり材料視されず、年内だけでネットで最低でも2兆ドルの国債発行が見込まれることで、この需給悪化が重しとなった。
米格付会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、米国のAaa信用格付けを確認したものの、米国の債務が現在の水準から減少しなければ、格下げ圧力に直面する可能性もあるとも指摘した(ロイター)。
米国債の格下げ懸念も払拭されておらず、また今日の7年国債入札への懸念もあるところに、米国債に比べて流動性に乏しい住宅ローン担保証券(MBS)を抱えた投資家によるヘッジ売りが優勢となったことで、昨日の米10年債利回りは前日比0.17%の3.72%に上昇し、一時3.74%と昨年11月14日以来の水準をつけた。米2年債利回りは前日比+0.01%の0.97%と小幅上昇にとどまり、2年と10年の利回り格差はさらに拡大した。
ここにきての米債の売られ方をみると、市場はかなりパニック状態ともなってきているが、この米長期金利の上昇はMBS絡みのテクニカル的な側面が大きかったと思われる。
今朝の日経新聞では、ドイツが2009年中に過去最大となる476億ユーロの国債を新規発行することを閣議決定したと伝えた。800億ユーロを超える景気対策が重しとなった上、景気後退により2009年の税収が前年比6%減となる見通しでこの税収不足が重荷となった。
米国ばかりでなく英国、そしてドイツも国債需給への懸念が強まっていることもここにきての長期金利上昇の背景にある。国債発行額について言えば、日本も負けてないが、それでも日本の長期金利上昇は、いまのところは小幅に止まっているが、本日の債券先物は前日比前日比31銭安の136円05銭で寄り付くなど、直近の136円50銭近辺から137円50銭近辺のレンジ相場を下抜けてきており、あらためて下値を探る展開となりそうである。