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今年の金融市場のびっくり予想を総括、日経平均の3万円や米長期金利の3%はあるのか

 今月のこのコラムでは、いくつかの今年のびっくり予想を書いてみた。今回はそれらをまとめて見てみたい。コラムのタイトルは以下の通り。

「マイナス金利政策の修正の可能性」

「もし原油先物が100ドル台回復となれば日銀の物価目標達成も?」

「2018年のビックリ予想、日銀の物価目標達成!」

「2018年のビックリ予想、日経平均の3万円台達成!」

「今年のびっくり予想?米国の長期金利の3%台回復」

 実はこれらはひとつの大前提に基づいた予想となっている。それは世界経済の拡大に伴うものとなる。その前提通りとなれば、これらはびっくり予想というよりも、メインシナリオとなりうる。

 米国の株式市場は主要3指数が最高値を更新するなど絶好調。FRBが利上げをしているにも関わらずである。というよりも、FRBが利上げを含めた正常化に着手できるほど景気が回復しており、それが株価に反映されているといえる。FRBも金融引き締めというよりも、あくまで非常時の対応としていた過度の緩和策からの脱却といえることで、景気も正常化してきたと言える。それが今年は更に拡大傾向にある。

 東京株式市場も世界的な景気拡大を背景に日経平均は1991年11月18日以来の24000円台回復となった。新元号のスタートや東京オリンピックという大きなイベントも控え、このまま日経平均が上昇基調を継続させて、30000円の大台を回復するというシナリオもサブというよりも現状、メインシナリオにもなりうるのではなかろうか。

 この世界経済の拡大とOPECなどの減産などを受けて、じりじりと上昇しているのが原油価格である。原油価格の上昇は物価の上昇要因ともなる。WTIのチャートからは次の節目は100ドルあたりとなり、そこを目指して上昇する可能性がある。

 景気の回復とともに物価が上昇してくれば、正常化に慎重となっていたECBも舵を切り替える可能性があり、資産買入の終了とともに利上げの可能性も指摘されている。

 日本の物価に関しても、内閣府は18日に発表したミニ白書で、需給ギャップがプラスに転じ、企業物価の「消費財」が大きく上がった昨年夏から半年後の今年前半にも物価がさらに上昇するという可能性を指摘している。ここに原油価格の上昇も加われば、消費者物価指数が2%に向けて上昇してくるというシナリオも描けないわけではない。もし1%台後半あたりまでCPIが上昇するとなれば、日銀は引き締め策というより、微調整という意味で、マイナス金利政策の修正などを行ってくることも期待したい。そうなれば銀行の業績にも好影響を与える可能性が出てくることで、株式市場はこれを好感することも予想される。

 世界経済の拡大と物価が上昇するとなれば、なかなか上がりそうで上がらなかった次の節目となる3%に向けて上昇してくることも予想される。すでに米国の長期金利は2.62%の節目を突破してきている。米長期金利の上昇は欧州の長期金利にも影響を与えるだけでなく、日本の債券市場にも影響を与えよう。そうなると日本の債券市場も日銀のコントロール下での落ち着いた動きが今後も継続するのかどうかは、かなり怪しくなってくる。


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# by nihonkokusai | 2018-01-20 11:19 | 金融 | Comments(0)

米国債保有高、昨年11月も中国がトップ

 中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると報じられ、これを受けて1月10日の米国の10年債利回りは一時2.6%近くまで上昇した。しかしその後、中国当局が米国債購入の縮小または停止を検討しているとの報道について、誤った情報に基づいている可能性があるとの見解を示した。

 17日に米10年債利回りはあらためて2.59%まで上昇しており、中国の米国債への購入姿勢に関わらず、米10年債利回りは上昇地合となっていたといえる。それでも米国債の最大の保有国である中国の動向は気になるところではある。その動向を見る上でも、参考になるのが米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)である。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」

http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 17日に発表された最新版によると、11月の国別の米国債保有高のトップは引き続き中国となっていた。ただし、保有額そのものは減少していた、これは2位の日本も同様であった。

単位、10億ドル、()内は前月比増減

中国(China, Mainland)1176.6、-12.6

日本(Japan)1084.1、-9.9

アイルランド(Ireland)328.7、+16.3

ケイマン諸島(Cayman Islands )269.4、-0.5

ブラジル(Brazil)265.3、-4.7

スイス(Switzerland)250.9、-3.1

英国(United Kingdom)237.9、+12

ルクセンブルグ(Luxembourg )218.3、+0.4

香港(Hong Kong)194.9、+2.6

台湾(Taiwan)179.9、-1.8

 これだけでは中国が政策的に米国債保有額を減少させているとは言えない。11月には人民元と円がともに対ドルで上昇していたことも要因として指摘されている。また、中国と日本の減少分を、アイルランドと英国がそれ以上の規模で前月増加させている点も興味深い。このため全体は11月が6343.1、10月が6349.5となっており、それほど大きな減少とはなっていなかった。


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# by nihonkokusai | 2018-01-19 10:05 | 国債 | Comments(0)

お金とは何か、その歴史を探る

 原始時代を描いたマンガによく出てきたお金は石である。古代においては、石も実際に使われた。また、古代中国やインドではお金として「貝」が使われていたことが知られている。ほかの国では「骨」や、「家畜」、「毛皮」、「穀物」、「塩」などが貨幣として使われていた。

 古代にお金として使われていたものは、共同生活において利用価値が高いこと、貴重なもの、さらに保存がきくといったものが選ばれた。これらは「物品貨幣」と呼ばれている。

 文献などに残っている世界最古の貨幣は、古代中国の殷王朝(紀元前1600~1046年)で貨幣として使われた「子安貝」である。「子安貝(タカラガイ)」は、当時たいへん貴重な貝の種類であった。貝という漢字も、タカラガイのなかの「キイロダカラガイ」という種類の形から生まれた象形文字だそうである。このキイロダカラガイやハラビラダカラガイが古代中国の殷王朝で「貝貨」として使われていた。

 貨幣とか経済に関しての漢字には、「買」「財」「貴」「賓」などのように貝のつくものが多いことも、古代中国で貨幣として使われていたことに由来する。ちなみに「売」という漢字も元々は「賣」(旧字)である。

 貝殻のように保存がきくということが、「お金」の重要な機能のひとつである。保存が効くということは、価値を貯蔵することが可能となる。

 その後、お金の役割をしていた貝は、やがて自然のものから貝を真似て作られた銅製品に変化した。銅や銀は貝などに比べて耐久性が優れ、運搬性にも優れているため、次第に金属が貨幣素材に利用されるようになった。

 その後も商工業などの発達に加え、銅や銀の産出や加工といった技術の向上により、金属貨幣が幅広く使われ始めた。メソポタミアでは銀を貨幣の代わりとしたとの記録が残っている。

 金や銀、銅などの貴金属金属は腐ったりすることがなく耐久性があり、他の金属を加えることで硬くなり、また分割したり足し合わせたりすることが比較的簡単にできる。さらに少量でも交換価値が高いことで持ち運びにも便利となる。

 しかし、「お金」という言葉に含まれている価値の高い「金(きん)」の場合は、王家など支配者の政治的権威を示す装飾品として利用される傾向が強かったため、昔は貨幣素材に使われることは案外と少なかった。

 当初使われた金属貨幣は貴金属の固まりや砂金など計量を計って用いられたことで、「秤量貨幣」と呼ばれた。ただ、秤量貨幣は、その品質を調べたり、重さを量る必要があるなど不便な面がある。そのため大きさや重さ、さらに混合物の量がきちんと決められたお金である「鋳造貨幣」が造られるようになった。

 鋳造貨幣は秤量貨幣と異なり、重さによって価値が決められるのではなく、個数によって価値が決められる貨幣である。それゆえに鋳造貨幣は個数貨幣、又は計数貨幣とも呼ばれている。鋳造とは鋳型に融かした金属を流し込んで製造ことで、量産がしやすく複雑な形状のものでも作る事が可能となる。こうして現在、使われている貨幣の原型が生まれたのである。

 世界における最初の鋳造貨幣は、紀元前7世紀ごろに現在のトルコ西部に位置するリディアで発行されたエレクトロン貨とされている。この素材となったのはエレクトラムと呼ばれた金銀の天然合金である。自然の中で採掘される金にはいくらかの銀などが混ざっているが、その中でも銀の含有量が20%を越えるものをエレクトラムと呼んでいる。これは普通の金と明確に区別されて「琥珀金」と呼ばれているが、その色彩や輝きといったものが琥珀に似ていたためである。

 琥珀を意味するギリシア語の「エレクトロン」は半透明で黄金色のコハクが太陽(エレクトル)を連想させることから命名された。こうしてこのエレクトロン貨は、金塊に人物や動物の絵を打刻してつくられ、この様式がギリシアやローマ以降の西洋式貨幣の基礎となった。


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# by nihonkokusai | 2018-01-18 09:49 | 金融 | Comments(0)

日銀の金融政策の修正の難しさ

 1月15日に日銀の支店長会議が開催された。日銀のサイトには黒田総裁の挨拶がアップされている。これを前回の昨年10月の挨拶分と比較してみたところ、昨年10月の挨拶分と今回の挨拶分の違いはわずか1か所だけとなっていた。

 「物価面をみると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっている。」2017年10月の支店長会議挨拶

 「物価面をみると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%程度となっている。」2018年1月の支店長会議挨拶

 つまり消費者物価(除く生鮮食品)の前年比の居所だけが、ここにきての前年比での上昇を受けて「0%台後半」から「1%程度」にやや上方修正されていた。

 これ以外の挨拶分には変更はない。景気に関しては昨年10月も今回も下記の通りとなっている。

 「わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。先行きについては、緩やかな拡大を続けると考えられる。」

 この部分は昨年7月には下記のようになっていた。景気についてはより強気の姿勢を維持した格好となった。

 「わが国の景気は、緩やかな拡大に転じつつある。先行きについては、緩やかな拡大を続けると考えられる。」

 最も注目すべき部分となるのは、「金融政策運営について」であろうが。その文面は下記のように全く変更されていない。もちろん金融政策そのものが現状維持となっていることで当然と言えば当然ではある。

 「金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。」

 この金融政策運営はこの5年近い経験則なども踏まえ、より柔軟なものに修正すべきものであることは確かである。しかし、そもそも物価目標が達成されていないこと、また外為市場などへの影響、政府との関係等々を配慮すると、現在の日銀としてはこの頑なな姿勢を維持せざるをえないのも確かである。それではこの姿勢を修正せざるを得なくなるとすれば、それは何が原因となるのか。

 そのひとつの可能性としては、日銀の本来の思惑通りの物価の上昇が挙げられる。日本の消費者物価指数(除く生鮮食品)が安定的に2%を超えて推移することは、まず考えにくいものの、瞬間的に2%を超えることはありうる。

 それはあくまで外部環境がそうさせるものとなり、中央銀行の金融政策によるものではないことが、むしろこれで明らかとなることも予想される。そこにあって金利が超低位に押さえつけられている。つまり我々が本来もらえるはずの金利分がもらえていない実情に対して批判的な見方が強まることも考えられる。その際に日銀が柔軟な対応を示せるのか。外為市場への影響なども考慮するとなかなか難しい選択に迫られることになる。


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# by nihonkokusai | 2018-01-17 09:50 | 日銀 | Comments(0)

今年のびっくり予想?、米国の長期金利の3%台回復

 10日の米10年債利回りは一時2.59%まで上昇した。これは9日に日銀が超長期ゾーンの国債買入を減額したことで、日銀も正常化路線に向きを変えてくるのではとの思惑で米債売りを誘い、それに加えて、中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると報じられたことで米10年債利回りは2.6%近くに上昇した。

 日銀が超長期ゾーンの国債買入を減額したのは正常化ではない。日銀の緩和策において、量の追求が厳しくなったことで、政策目標を金利に変更し、量の買入も長期化出来るように調整しているともいえる。

 15日の日銀支店長会議の挨拶でも、黒田総裁は「金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。」とこれまでの発言内容を繰り返している。

 ただし、ECBも量的緩和の修正を検討するなどしており、原油高を受けて物価のさらなる上昇も予想される。このため市場では日銀による金融政策の正常化も今後は意識せざるを得なくなるとみられ、今回の米債の下落はそれがきっかけかと思われる。

 中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると報については中国当局が否定コメントを出している。

 このため、米10年債利回りが一時2.6%近くまで上昇した材料そのものはそれほどインパクトのあるものではなかった。ただし、2.6%という水準は実は節目にあたり、この水準に接近したことに意味があった。

 米10年債利回りは昨年3月に一時2.6%台に上昇したが、それ以降は低下基調となり、昨年9月に2%近くまで低下した。その後再び上昇基調に転じて2.6%に接近したのである。チャートからは2.6%を抜けてくると次の節目は3%までない。

 FRBはすでに正常化を進めており、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は1.25~1.50%まで引き上げている。しかし、米10年債利回りは2.6%以下の水準で推移を続けるなど米10年債利回りにはそれほど上昇圧力は加わっていない。これは物価がFRBの目標水準まで上がっていないことなども要因となっていようが、その物価についても世界的な景気拡大によって、今後さらに上昇圧力が加わる可能性がある。そうであれば今年の米10年債利回り(米長期金利)は2.6%近辺を上抜けて、3%を目指す可能性はありうると見ている。


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# by nihonkokusai | 2018-01-16 10:04 | 債券市場 | Comments(0)

世界的な株高と原油高でデフレ脱却もイメージか

 2018年の東京株式市場はまさにロケットスタートとなった。米国株式市場の上昇などを材料に大発会の4日には700円を超す上昇となり、昨年末に付けそうで付けなかった23000円を突破してきた。

 日経平均株価の最高値は1989年12月末大納会につけた38915円となる。ここがピークとなり、いわゆるバブル崩壊が始まる。そのバブル崩壊後の安値が、2009年3月10日の7054円となった。38915円から7054円下落の半値戻しが、22984円となる。つまり日経平均で抜けそうで抜けなかったのは23000円というよりも、この半値戻しの水準と言えた。

 相場の格言によれば「半値戻しは全値戻し」とされる。つまり格言通りとなれば、年内の高値予想の25000円どころか30000円台、さらには40000円すら見えてくることになる。今の勢いがこのまま継続するとなれば絶対にないとは言えない。米国株式市場ではすでに株価指数は過去最高値を更新し続けている。

 米国を中心とした日本を含む世界的な株価の上昇の背景には、世界的な景気の拡大がある。2度の世界的な金融経済危機が後退するなか、日米欧の大規模な金融緩和は続いており、過去に例のない過熱感なき過剰流動性相場と業績相場が同時進行しているような構図となっている。

 もちろんリスクについても目を配る必要はあるが、そのリスクも見えなくなりつつある。例えば北朝鮮リスクについては、韓国で2月に開催される平昌冬季オリンピックに北朝鮮が参加する意向を示している。この目的もいろいろと推測されようが、少なくとも懸念された軍事衝突の可能性は後退している。中東情勢なども無視はできないものの、世界的な危機を迎えるような状況でもない。

 それよりも日本の株価に好材料となりそうなものがいくつか存在している。たとえば新元号のスタートや東京でのオリンピック開催などの大きなイベントである。これらをきっかけに、なかなか伸びない個人消費が今後上向いてくる可能性もある。雇用もタイト化しており、企業業績の改善が続けば、賃金等にも反映され、個人消費が拡大を示す可能性がある。

 あまりに楽観的な見方も禁物ではあるが、ひとつのシナリオとして日経平均の3万円台回復を挙げても良いのではなかろうか。さらにここにきて原油価格が上昇しつつあり、こちらもチャート上ではWTIの100ドルあたりまでの上昇の可能性が出てきた。これは物価に直接反映されることで、デフレ脱却もイメージされる可能性がある。そうであればさすがに金利も動意を示すことも予想される。日銀の物価目標を柔軟化させる機会が訪れる可能性もあるかもしれない。


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# by nihonkokusai | 2018-01-15 09:54 | インフレ・デフレ | Comments(0)

慎重ながらも正常化に向けて舵を取ろうとしているECB

 11日に発表された昨年12月14日のECB政策委員会の議事要旨では、「金融政策姿勢や、政策方針(フォワードガイダンス)のさまざまな次元に関わる文言について、来る年(2018年)の初めに再検討を加える可能性がある」と指摘した(ロイター)。

 何を言いたいのかこの文面だけではわかりづらい。ただし、一部のメンバーの間からは金融状況の追加緩和は不要との意見が出ており、ECBが後手に回らないよう警鐘を鳴らすメンバーもいた。

 すでに執行部の6人のなかで、クーレ理事(フランス)とメルシュ理事(ルクセンブルク)、ラウテンシュレーガー理事(ドイツ)は量的緩和策の再延長には消極的な姿勢を示していた。

 プラート理事(ドイツ)もフォワードガイダンスは量的緩和の終了が近づくに伴い金利中心になっていくだろう述べていた。

 ドラギ総裁(イタリア)、コンスタンシオ副総裁(ポルトガル)は量的緩和策の再延長に関して具体的な姿勢は示していないものの、今回の議事要旨の「再検討」の部分については、債券購入プログラムの終了を視野に入れてのものであろう。

 ただし、ECBの出口政策はそれを封じている日銀ほどではないが、極めて慎重であることも事実である。今回のECB政策委員会の議事要旨を受けてユーロ高が進んだが、できる限りマーケットの過剰反応は抑えたいものとみられる。

 それでも域内の経済成長の拡大も見込まれ、原油価格の上昇による物価への波及効果も意識するとなれば、少なくとも追加緩和は選択肢から外される。量を減らしながらも延長した資産買入については、停止する可能性が見えてきた。その後の利上げについてまでは、踏み込むのは時期尚早となろうが、ECBも慎重ながらも正常化に向けて舵をとろうとしていることが伺える。

 これを受けて11日のドイツの10年債利回りは0.58%に上昇した。これは昨年7月につけた利回りにほぼ並んできたことで、ここを抜けてくると0.9%あたりまで節目はない。ECBの正常化、それを可能にするユーロ圏内の景気の拡大、物価動向次第ではユーロ圏の国債利回りも今後、上昇基調に転じる可能性が出てきている。


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# by nihonkokusai | 2018-01-13 12:34 | 中央銀行 | Comments(0)

中国政府は米国債投資の見直しを巡る報道を否定

 昔、日本の首相が「米国債を売ろうという誘惑に駆られたことはある」と発言し、これを受けて米国株式市場が急落したことがある。これは1997年6月23日に橋本龍太郎首相が、米コロンビア大学での講演を終えた後の質疑応答でのコメントであった。

 1998年末の運用部ショックと呼ばれた日本国債の急落に際し、生保などが日本国債の下落による損失を穴埋めするため米国債を売ってくるとの懸念を当時のルービン米財務長官が示し、その結果というか金利上昇抑制策として打ち出されたのが日銀による1999年2月のゼロ金利政策である。

 当時は日本が最大の米国債の保有国であったことで、米国市場への影響力が大きかったことが、これらによっておわかりいただけるかと思う。しかし、現在の米国債の最大保有国は中国である。正確には中国と日本がほぼ肩を並べ、他の国を大きく引き離しているのが現状である。

 その中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると報じられ、これを受けて10日の米国の10年債利回りは一時2.6%近くまで上昇した。

 これを報じたブルームバーグによると「中国の外貨準備を見直す当局者らが米国債の購入を減らすか停止することを勧告したと、事情に詳しい関係者が述べた。」そうである。

 「同問題について公に発言する権限がないとして匿名を条件に語った関係者によると、中国当局者らは米国債が他の資産との比較で魅力が低くなったとみているほか、米国との貿易摩擦が米国債購入を減額したり停止したりする理由になるかもしれないと考えている。」ブルームバーグ

 特にここにきて米国債が他の資産との比較で魅力が低くなったということは考えづらい。もしかするとトランプ政権の中国への姿勢に対する警告との意味合いもあったのかもしれないが、現実には中国が大量に保有しているドルを米国債以外の資産に大きな規模で振り向けることも考えづらい。ドルの運用先として安全性、流動性等を考えれば特に中短期の米国債が対象となるのは必然である。それをたとえば欧州の国債に振り向けるとなれば、為替リスクも掛かる上、流動性という面では米国債には劣る。  

 政治的な要因があるのかどうか。それ以前に本当に中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討しているのかどうかは、かなり懐疑的な面があった。実際にその後、中国当局が米国債購入の縮小または停止を検討しているとの報道について、中国政府筋は誤った情報に基づいている可能性があるとの見解を示した。

 ここにきて債券王と呼ばれたビル・グロース氏は債券の弱気相場入りを宣言し、新債券王と呼ばれるダブルライン・キャピタルの共同創業者ガンドラック氏も米国債券相場は弱気相場に本格的に入ると指摘していた。

 両者に指摘されるまでもなく、米10年債利回りは今回、節目とされる2.6%に接近し、チャート上ではここを大きく抜けると3%あたりまで上昇する可能性が出ている。そのようなタイミングでの今回の報道だけにいったいどこからそのような観測が出ていたのかも興味深い。

 ちなみに10日の米国債券市場では一時2.59%まで上昇した米10年債利回りは、当日の10年債入札が好調だったこともあり、前日比変わらずの2.55%まで戻していた。そして11日には2.53%に低下しており、それほど影響があったわけでもなかった。


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# by nihonkokusai | 2018-01-12 09:55 | 国債 | Comments(0)

日銀のステルステーパリングに過剰反応?

 日銀は1月9日の国債買入において、超長期ゾーンの国債買入額を減額した。残存10年超25年以下は1900億円と前回の2000億円から減額し、残存25年超も800億円と前回までの900億円から減額した。残存10年超25年以下の減額は2016年12月28日以来、残存25年超は2017年11月24日以来の減額となる。

 この減額は債券市場でもサプライズと受け止められたが、反応そのものはこれまでの減額時と同様にさほど大きなものではない。債券先物は売られたといっても9銭安での引けであった。10年債も売られたが0.010%上昇の0.065%と大きくは動いていないし、そもそも現物債は商いそのものが通常に比べても少なく、超長期ゾーンにもパラパラと売りが入った程度であった。つまり円債市場は大きくは動いていなかった。

 来年度の国債発行計画で超長期ゾーンも含めて発行額が減額されることもあり、どこかのタイミングでの減額は想定されていた。ただし、年末でもなければ年度末でもなく、このタイミングというのがやや意外性があり、さらに来年度の発行額で減額がない20年ゾーンも絡んでいたあたりに、小さなサプライズはあった。しかし、債券市場ではその程度であった。

 日銀は2016年9月の長短金利操作付き量的・質的緩和政策によって、政策目標を量から金利に戻している。「概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約80兆円)をめどとしつつ」という数字は残したものの、約80兆円は目標数値ではない。すでに今年度ペースでは60兆円を割り込んでいる。日銀は金利をコントロールするために、国債買入額の微調整を行っているという格好ながら、現実には買入額を減少させている。これはステルステーパリングとも呼ばれているが、いまに始まったことではない。

 しかし、今回の日銀による国債買入の減額は、外為市場が特に反応を示した。ドル円が113円近辺から112円台半ばにドスンと下落したのである。さらには9日の米国債券市場で10年債利回りが2.55%と前日の2.47%から大きく上昇したのも、日銀のステルステーパリングがひとつの要因と指摘されている。

 9日の日銀の国債買入オファーのタイミングでのドル円のこの反応は、特に大きな材料もないなか、「国債買入の減額」という表現にシステム的な反応を起こした可能性もある。米債も売りのきっかけ待ちのところに、この材料に反応した面もあったのかもしれない。

 ただし、欧米の中央銀行が正常化に向けて舵を取ろうとしているなか、頑なに物価目標達成に向けて大規模な緩和策を継続する日銀に対して、海外投資家もこれはやはりおかしいと感じ始めている事も確かなのかもしれない。

 結果としてのステルステーパリングは、あくまで買い入れる国債に限界が見えてきたことによる。このため、量ではなく金利に再度着目し、2016年1月にマイナス金利政策を取ったら、金融界からの批判が集中、その批判をかわして、国債の買入額に縛られずにイールドカーブをスティープ化させるために編み出されたのが、長短金利操作付き量的・質的緩和策といえる。ある意味苦肉の策ではあったが、これが案外うまくいっているというのが現状である。ただし、これは正常化に向けた動きではない。

 それでも景気拡大時に非常時の金融政策を続けることに対してはやはり疑問は残る。世界的な景気拡大とそれを受けての原油高などによって物価がいよいよ上がってくる可能性も出てきている。日銀にとっては物価目標が達成されず、むしろ低迷し、長期金利が低位で押さえつけられる環境の方が実はベターであるともいえる。しかし、物価や金利を取り巻く外部環境が今後、劇的に変化してくる可能性もある。量については調整が出来ても、金利については物価目標達成が見えない限り調整はしないというのが日銀の現在のスタンスとみられる。しかし、果たしてそのスタンスがどこまで維持できるのか。市場も多少なり疑問を抱きつつあることも、今回の過剰反応に現れていたのかもしれない。


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# by nihonkokusai | 2018-01-11 09:48 | 日銀 | Comments(0)

2018年のビックリ予想、日経平均の3万円台達成!

 2018年の東京株式市場は4日の大発会で、抜けそうで抜けなかった23000円をあっさりと抜いてきた。昨年末は大納会で年内の最高値を更新し、いわゆる「掉尾の一振」になるかと期待されたがそれは叶わなかった。しかし、新年早々にこの23000円をクリアしたことは、むしろ今後さらに日経平均が上昇してくることを予感させるものとなった。

 日経平均の23000円台達成は単に節目を抜いただけということだけでなく、実はチャート上、なかなか破壊力のある水準を抜いたことになる。

 株式市場では「掉尾の一振」といった相場格言のようなものが数多くある。それは江戸時代の大阪堂島での米相場当たりから続くものも多い。堂島での米の先物取引は現在の金融先物取引の原型となっているだけでなく、値動きもあり、ローソク足などを使ったテクニカル分析もすでに行われていた。本間宗久によって編み出された酒田五法はテクニカル分析のバイブルとも言える。

 そんな相場格言のひとつに「半値戻しは全値戻し」というものがある。大きな相場下落があり、その後回復基調となり、相場下落時の高値から安値の半値まで戻ると、相場は再び下落前の高値まで戻るという習性があることを示すものである。ただし、相場に絶対はなく、半値に戻せば絶対に全値戻しとなるわけではない。しかし、その確率が比較的高いとの過去の相場体験に基づいた格言といえる。

 日経平均株価の最高値は1989年12月末大納会につけた38915円となっている。1989年はまさに掉尾の一振となったが、ここがピークとなり、いわゆるバブル崩壊が始まる。そのバブル崩壊後の安値が、2009年3月10日の7054円となった。38915円から7054円下落の半値戻しが、22984円となる。つまり日経平均で抜けそうで抜けなかったのは23000円というよりも、この半値戻しの水準と言えた。

 これを年が変わって抜けてきたことの意味は大きい。「掉尾の一振」となれば、1989年の相場を思い出されて目先のピークアウト感が出てくる可能性もあった。しかし、新年早々に直近の高値を更新してきたことは、今年の相場そのものの動きを予感させるものとなる。さらに半値戻しを達成したとなれば、全値戻しを連想させることになる。

 日経平均はこれにより30000円が視野に入り、全値戻しとなる可能性も見えてきた。すでに米国などの株価指数は過去最高値を更新しており、日本の株価指数が最高値を更新してもまったく不思議はない。世界経済の拡大傾向は当然、日本国内の景気にも好影響を与えよう。国内要因としても、新元号のスタートや東京でのオリンピック・パラリンピックの開催など大きなイベントも控えており、国内景気がさらに拡大し、株価はこれから本格的に上昇トレンドを迎える可能性も十分にありうるのではなかろうか。


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# by nihonkokusai | 2018-01-10 09:19 | 金融 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
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